口は災いの元【お釈迦様物語】

【概要】 むかし、王舎城と呼ばれる町でお釈迦様が説法していた時のことです。 あるとき、お釈迦様と弟子の阿難は通り沿いの汚水の中に、人間のような手足を持った一匹の小さな虫を見つけました。 その虫に、お釈迦様は哀れみを持った顔を向けられました。阿難はお釈迦様のその表情を見逃しませんでした。 そのことが気になっていた阿難は、あとからそのことをお釈迦様に聞いてみました。 そこで、お釈迦様は、あの小さな虫の過去生の因縁話を話してくれます。

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「口は災いの元」文字おこし

むかし、王舎城と呼ばれる町でお釈迦様が説法していた時のことです。

お釈迦様は弟子の阿難とともに乞食を終えて帰っていたところ、通りに汚水や雨水がたまった水たまりがありました。その汚い水たまりの中に、人間に似た手足をもった一匹の小さい虫がいました。
この虫はお釈迦様が通るのを見て、なんとか水中から頭をあげて、目にいっぱい涙をためてお釈迦様のほうを見ました。
お釈迦様はこの様子をご覧になって、哀れみのまなざしを向けたところを阿難は見逃しませんでした。
やがてお釈迦様と阿難は寝床に到着しました。
阿難は先程のお釈迦様のお顔が忘れられずに、どうしてあの時小さな虫を見て哀れみの顔をなされたのか聞いてみました。

「世尊よ、さきほど、汚水の中に小さな一匹の虫がいたのをご覧になっておられましたが、あれは前世にどんな悪行を行い、なぜなんな汚い水の中に生きることになってしまったのでしょうか? また、あの苦しみから抜け出ることができるものなのでしょうか?」

「阿難よ、よく聞くがよい。今、哀れな彼の因縁の話を聞かせてあげよう。」

今から遥か昔、一人の修行僧があった。彼は寺を建てて多くの僧に食べ物などを施した。また、お寺では檀家から乳製品の供養を受けることもあった。
ある時、彼はこう思った。
「せっかく貴重な乳製品をもらったのに、客人の僧侶に分けるのはあまりにも惜しい。いっそう隠してしまおう」

そう思って、乳製品を独り占めしてしまった。

この寺には檀家から乳製品が供養されていることをかねてから知っていた客人の僧侶たちは、「なぜ私たちに乳製品を分け与えてくれないのですか」と彼を責めた。
しかしかれは悪びれもせず、
「お前たちに乳製品はごちそうすぎる。便所の水でも飲んでいるがいい」

ここまで話し終わるとお釈迦様はこういわれました。

悪口をいった報いとして、それから彼は何百何千もの長い間、汚水の中に生まれ生きることになったのだ。その男があの小さな虫なのだ。
彼はたった一度、悪口をいったばかりに、このような苦しみを受けることになったのである。
阿難よ、言葉は時に、この身を焼き尽くす業火ともなるのだ。常に慈しみ深く優しい言葉を用いるように心がけなければならない

今日は、「口は災いの元」というお話でした。

※本テキストは音声から文字を起こしているため誤字なども多くあります。また、動画の音声とは必ずしも一致するものではありませんが、大切なポイントの振り返りに役立てて頂ければ幸いです。

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