お釈迦様のおじいさんからたどる『お釈迦様誕生物語』

お釈迦様のおじいさんの代からたどる、お釈迦様誕生物語です。

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「お釈迦様でも改心させられなかった男の話し」文字おこし

お釈迦様のおじいさんて、シンハハヌという人だったんです。
この人もとても素晴らしい王様で、彼が自国、釈迦族のカピラバストを統治している間も、国が豊かでずっと平和が続いていました。

そんなカピラバストの近くには、デーバダハというコーリヤ族の国があり、ここの王様もまた素晴らしい王様で、名前はスプラブッダといいました。
この王様のお妃様はルンビニーという名前で、とても美しい人でした。
国民は、お妃様の顔を見るだけで、心が和むなんて言っていたくらいです。

このデーバダハの国には、1人の長者が住んでいました。長者というのは、お金持ちだったり地位が高かったり、徳が高い人のことですが、
その長者がすばらしい庭園を持っていたんです。
そこは、1年中様々な花が咲きほこり、水が澄み切ったきれいな池があり、色々な種類の鳥たちがやってくるような、まるで夢の国かと思うような美しい庭園でした。

ある日、スプラブッダとルンビニーはこの庭園に招待されました。そのあまりの庭園の美しさに、ルンビニーは夫である王様に、あなたの力で、この庭園を私のものにしてくれないかとお願いします。

だけど、そこは立派な王様のことですから、そんなわがまま言うものではないとさとし、代わりに、自分の城の中にここにも劣らない庭園を作ってあげようと約束します。

そして、やがて約束通り、長者の庭園よりも素晴らしい庭園が出来上がります。
王様はこの庭園を、自分の妃の名前にちなんで、ルンビニー園と名付けました。

ルンビニーの園という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、ここはやがてお釈迦様が生まれることになる舞台です。

さて、やがて、スプラブッダとルンビニーの間に一人の女の子が生まれます。

その子もまた本当に綺麗で、天人の生まれ変わりではないかと言われていました。
スプラブッダ王もとても喜んで、この子をマーヤーと名付けました。

この子がやがてお釈迦さまを産むことになります。

数年が経ち、スプラブッダとルンビニーの間にもう一人女の子が生まれます。
この子の愛くるしさは、姉のマーヤーにも勝っていたといいます。

王様はこの子にマハープラジャーパティと名付けました。

この妹が、マーヤーがお釈迦様を産んで亡くなった後、お釈迦さまの育ての親となります。

王様がこの娘2人を占い師に見せたところ、「必ず立派な子供を産む」との啓示を受けました。

ある日、王様は、カピラバストのシンハハヌの元へ手紙を出し、自分の娘たちを占った占い師の言葉を伝え、「あなたにはスッドーダナという立派な王子様がいらっしゃると聞いています。もしできることなら私の娘を王子様の妃に迎えていただきたい」と申し出ます。

スッドーダナはお釈迦様のお父さんになる方です。

シンハハヌ王はそれを快く引き受けて、マーヤーとスッドーダナは結婚します。

それから、間もなくして、シンハハヌ王は亡くなり、スッドーダナが国の王様となります。

そして、やがて、王様とマーヤーの間に子供が産まれ、ゴータマシッダールタと名付けられます。

お釈迦様と言われている人その人です。

ちなみに、お釈迦様というのは、本名がゴータマシッダールタですが、なぜお釈迦様と呼ばれるのかというと、例えば、自宅にヤクルトのお姉さんが配達に来たとしますと、「田中さん来たよ」など、名前で呼ばず、「ヤクルトさん来たよ」なんて呼びますよね。その人が所属する団体で呼ばれたりすることがありますが、それと同じように、ゴータマシッダールタさんも、釈迦族出身だから、「お釈迦様」なんて呼ばれるようになったんです。

さて、スッドーダナ王は、生まれたばかりのお釈迦様を連れて城下へ出ると、不思議なことが起こりました。
街の人たちが、王子の姿を見ると、誰もが大人しく黙り込んでしまったのです。

それを見た王様は、この子には何か特別な徳があるに違いないと、アシタ仙人という人に王子を見てもらいました。

王子をみたアシタ仙人は、肩を震わせ、声を押し殺して泣き出したのでした。

王様が、
「何が見えたのですか?もしかしてなにか王子の身に不幸が…!?」
と聞くと、

仙人は、
「いいえ違います。この子はやがて、尊い仏となって、多くの人々を救ってくださるでしょう。ただ、私はもう年老いていて、この子が仏になるのを見届けることができません。それが悲しくてたまらないのです」

と答えました。

それを聞いた王様は大いに満足されました。

アシタ仙人は城を後にすると、
「私の代わりに誰か、仏の出現を見届けてくれるものはいないだろうか」と考えました。

そしてふと、妹の子供、つまりアシタ仙人から見ると甥っ子のことを思い出し、その足で妹の家に向かいました。

妹の家に着くなり甥っ子のナーラダを呼び出して、こう伝えます。

「ナーラダよ、よく聞くんだぞ。今、王様のもとに王子様がお生まれになった。今から35年後、この王子様は仏になられるだろう。私はもう、その頃には生きていないが、お前は違う。お前は、王子様が仏になる時に居合わせることができるし、そして尊い教えを聞くことができるのだ。よいか、お前は今すぐに出家し、王子様が仏となるその日まで修行に励むのだ。私の代わりによろしく頼む」

賢いナーラダ少年は全てを理解して、
ヒマラヤの山中に入って修行を始めたのでした。

これが、お釈迦様誕生までの話しです。

一般的にはお釈迦様は
マーヤー夫人の右わきから生まれて、生まれてからすぐに、7歩歩いて「天上天下唯我独尊」と言ったと言われていますが、もちろんそんなはずはなく、それは、後生の人が、お釈迦様ほど尊い人が普通の生まれ方をするわけがないと思って作られた伝説です。

ただ、これを嘘と思うのではなく、お釈迦様が本当に素晴らしい人であったからこそ、あたかも、お墓を荘厳に飾るように、敬意をもって、出来事も荘厳に彩られたと考えていくのが良いでしょう。

こうやって、お釈迦様の神秘的な部分と、史実として本当に生きていた部分とを切り離すと、お釈迦様の純粋な教えが見えてきます。

そこには、なにも神秘的なものはなく、今の時代の私たちの生き方の指針となるたくさんの教えが残っています。

仏教をただ、宗教として捉えていたらものすごくもったいないです。

ぜひ、生身のお釈迦様の教えに興味を持っていただければと思います。

それでは、また次回のお話で!

※本テキストは音声から文字を起こしているため誤字なども多くあります。また、動画の音声とは必ずしも一致するものではありませんが、大切なポイントの振り返りに役立てて頂ければ幸いです。

最後にひとこと

お釈迦様や仏様というのは、
どこか神格化されていて、
完全無欠な感じがしますが、
本当はそんなことありません。

でもだからこそ、
宗教としての仏教ではなく、
人としてのお釈迦様に惹かれるのです。

宗教に関連した事件がたくさんあるので、
知らない人から見ると仏教というのも、
神秘的で、時には怖いものに見えたりしますが、
本当はそんなことなくて、
どんな人にも役に立つ、
生きる知恵に満ち溢れています。

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